わずか9坪のユートピア page:2/9
ブレッド&バター結成と運命の出会い

 1969年、筒美京平・橋本淳という歌謡界のヒットメーカーコンビのオーディションに合格した彼らは、「傷だらけの軽井沢」でブレッド&バターとしてデビューを果たす。独特のハーモニーで人気を集めた彼らは、日本人として初めて海外レコーディングを行うことになった。1973年、イギリスに渡った二人を待っていたのは、その後の彼らに大きな影響を及ぼすことになる「出会い」だった。数ある出会いの中でも、とりわけこの二人との出会いは、特別な巡り合わせともいえるものだった。
 その一人は、現在でも親交の深いスティービー・ワンダーとの出会い。ブレッド&バターのセンカンドアルバムのレコーディングに、スティービー・ワンダーがシンセサイザーで参加したのだ。実はこの時、スティービー自身も他のアーティストのアルバムに参加するのは初めてだったというから驚きである。
 そしてもう一人が、当時ロンドンに留学していた岩倉瑞江だった。彼女が当時を振り返る。
「当時、イギリスに留学していたときの姉貴分から、日本からこういう人が来ているらしいから会いに行こうって誘われたの。お兄さんのサッチンのことは以前からなんとなく知っていたんだけれど、弟の二弓君に会ったのはその時が初めてで、何となく彼に恋しちゃって、学校は途中だったんだけれど、彼らが帰ったあと、日本に帰ってきてしまったんです」
 ロンドンでの彼女との出会いは、この後の岩澤兄弟にとっても湘南の音楽シーンにとってもかけがえのないものとなる。この出会いがなかったら、もしかしたら現在の開放的な湘南の生活スタイルも生まれていなかったかも知れない。

←カフェブレッド&バターのエントランス。すべてが手作りのアットホームな店だった。
左に映っているのが岩倉瑞江氏

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